駄文

「シッピーの劣等コンプレックス」でジーヴスが神になったみたいなことを書いたが、ちょっと補足してみる。
ジーヴスものの笑いどころとして、完全なる紳士のジーヴスだが、やるときは法やモラルに触れることも平然とやってのけること、ジーヴスのお気に召さなかったバーティの私物(主に衣類)が様々な手段を用いて処分されることが挙げられる。
基本的には、

  1. バーティがセンスの悪い衣類などにこだわってジーヴスとケンカ
  2. 事件が起こってジーヴスに協力を依頼
  3. ジーヴスがバーティ(ないし他の登場人物)をひどい目に遭わせる手段を用いて事件を解決(例:キチ○イ扱いされる、夜道をチャリで夜通し走らされる)する
  4. 見返りとして冒頭の私物をきれいに処分して幕

というのが主なパターンだが、バーティに被害はなく平和的に解決するときもある。これは私見だが、3が無理なく決まり、なおかつバーティがイワされればイワされるほど、私物の処分が気が利いているほど笑える事が多い。
さて「シッピーの劣等コンプレックス」だが、今回の解決方法はこのパターンの発展系と言える。あまり詳しくは書かないが、事件解決のためにジーヴスはいつもにも増してヤバい、というより明らかな犯罪という手段を用い、その隠蔽工作としてバーティの私物を処分したのだ。この方法は美しい。今までは私物の処分はあくまで事件とはほぼ関係なく、解決の見返り、最後のオチとしてのみ用いられてきた(と思うよ)。だが今回は、事件を解決するためにはこうするしかなかったんですが何か?というジーヴスの確固たる決意が窺える。本当にこの手段でしか事件は解決しなかったのか、バーティの壺以外に選択肢はなかったのか、そもそも壺を処分するためにこの手段を選択したのではないのか。答えはジーヴスのみぞ知る。バーティに出来ることはいつも通り未練を断ち切ってあきらめることのみであり、読者に出来ることはただ爆笑することのみだ。